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「痴漢」に関するお役立ち情報
痴漢の定義や罪の重さとは?痴漢とみなされる行為
1 痴漢の定義と罰則
痴漢は、電車内や夜道で、女性がお尻や胸を触られるといったケースが典型例です。
痴漢は、各都道府県が定める迷惑防止条例違反として処罰される場合と、刑法犯である不同意わいせつ罪で処罰される場合があります。
愛知県の条例では、「人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること」と規定されています。
愛知県の条例違反の場合、罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です(常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります)。
不同意わいせつ(刑法176条)罪は、一定の事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつ行為をすることによって成立します。
改正前の刑法では、「暴行又は脅迫」を要件とする強制わいせつ罪や、「心神喪失又は抗拒不能」を要件とする準強制わいせつ罪がありましたが、外形的に抵抗が困難といえない場合、これらの罪で処罰できないケースがありました。
実質的には、そのような処罰されないケースをなくすため、それら要件を改める形で、不同意わいせつ罪が設けられました。
なお、不同意わいせつ罪では、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」の原因となりうる行為・事由として、「暴行」、「脅迫」のほか、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」や「地位に基づく影響力」など8つもの類型を例示しています(同条1項各号)。不同意わいせつ罪の罰則は、6月以上10年以下の懲役ですので、迷惑防止条例違反よりも重いものとなっています。
電車内の痴漢で、迷惑防止条例違反に留まる場合と、不同意わいせつ罪となる場合の区別について、下着の中に手を入れたかどうかで区別されるといわれることがあります。
しかし、法律上、下着の中に手を入れたかどうかで、両者の罪の成立が区別されてはいません。
確かに、下着の中にまで手に入れた場合、迷惑防止条例が想定する大衆に対する迷惑行為の範疇を超え、被害者の性的自由の侵害が強く、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いとは言えますが、下着の中に手を入れなかった場合に、不同意わいせつ罪が成立する可能性がないかというと、そのようなことはないと思います。
例えば、下着の上から被害者の臀部を執拗に撫でまわしたよう場合では、不同意わいせつ罪として処罰される可能性も十分にあるというべきです。
2 痴漢とみなされるケース
電車内において、女性の臀部を手の平で撫でるといった類型のみならず、押しつけ型の痴漢行為もあります。
押しつけ型の痴漢行為は、例えば、すし詰めの満員電車内で、男性が股間や手のひらを女性の臀部に押しつけ続けるといったものです。
この態様の痴漢は、股間や手の平を女性の臀部に故意に押し付けにいく場合もありますが、偶然に発生した状況を利用する場合もあり、痴漢であるか判別がつきにくいといえます。
偶然に発生した状況を利用するとは、例えば、満員電車に乗車中、電車の揺れなど原因で乗客が動き、偶然、下に下げている自分の手のひらに女性の臀部があたるような状態になった場合に、その状態を利用して、自分の手のひらを女性の臀部に当て続けるといったものです。
電車の揺れが原因で、偶然、自分の手のひらが女性の臀部にあたることになった場合、女性の臀部を意識的に触ったとはいえないので(痴漢行為をする故意が無いといえます)、それだけでは、痴漢をしたとはいえません。
しかし、偶然、自分の手の平が女性の臀部にあたる状態になったことを奇貨として、自分の手のひらを女性の臀部から動かさずにその状態を維持し続けた場合、女性の臀部を意識的に触っているとして、痴漢として、処罰される可能性があります。
ですので、満員電車内で、偶然、女性の臀部が自身の手のひらに当たるような状態になってしまった場合、直ちに女性の臀部から手をずらすようにしましょう。
故意に臀部などに触り続けた場合に、「予想と異なる事態に直面して恐怖させ、若しくは驚愕させること」(6号)に該当するだけでなく、故意に一瞬触った場合であっても、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」(5号)に該当し、不同意わいせつ罪が成立する可能性もあります。
また、路上で女性に対して卑猥な言葉をかける、下半身を露出するといった行為は、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の「卑わいな言動をすること」に該当し、痴漢行為として処罰される可能性があります。
なお、下半身を露出する行為は、公然わいせつ罪として処罰される可能性の方が高いでしょう。
加えて、近年、エアドロップ痴漢と呼ばれる痴漢が発生しています。
これは、近距離にいるiphoneユーザー同士が、画像や動画を共有できるAirDrop(エアドロップ)という機能を利用し、例えば、満員電車の中で卑猥な画像を女性と思われるiphoneユーザーに送りつけ、送られた相手の反応を楽しむといったものです。
エアドロップ痴漢は、「卑わいな言動」に該当するとして、各都道府県が定める迷惑防止条例違反を理由に検挙される例もあります。
3 痴漢が未遂の場合は罰にはならない
電車内で、自分の前に立っている女性の臀部を触ろうと手を伸ばしたが、女性が移動して触れなかったとします。
このような事例で、痴漢行為が未遂に終わった場合、処罰されることはないでしょう。
なぜなら、各都道府県が定める迷惑防止条例に留まるような事案において、迷惑防止条例には、未遂犯を処罰する規定はないからです。
4 痴漢をして逮捕されるのか不安な方は弁護士法人心までご相談を
痴漢をしてしまった場合、逮捕されることもあります。
逮捕されると、身体拘束されること自体が苦痛であることはもちろん、仕事や学校にも行けなくなります。
逮捕される可能性をできるだけ低下させるためには、警察に自首したり、被害者と示談して被害者に許していただくことが重要であると思われますが、相談者の方にとって、何がベストなのかは、個別具体的な事情によっても異なります。
弁護士法人心には、痴漢等性犯罪の弁護に精通した弁護士が在籍しておりますので、ぜひ、ご相談ください。
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