「示談」に関するお役立ち情報
刑事事件において示談ができない場合の対応
1 刑事事件における示談
窃盗等の財産犯、痴漢等の性犯罪、傷害等の身体犯といった被害者が存在する犯罪においては、被害者と示談することが重要です。
被害者と示談することによって、不起訴処分となったり、起訴されたとしても執行猶予付きの判決となったりすることが期待できます。
なお、ここでいう示談とは、加害者は相当程度の金額を支払い、被害者は加害者を許し刑事処罰を求めない(いわゆる宥恕)という内容を含むものとします。
2 示談ができるとは限らない
被害者と示談できるとは限りません。
当然のことですが、加害者側からの示談の申込に対して、被害者が応じる義務はありません。
加害者を許せず、示談しないという被害者の方も、当然いらっしゃいます。
示談することにより、加害者に対する処分が軽くなることを嫌い、示談に応じないという方もいらっしゃいます。
示談金に満足しないから示談しないという被害者であれば、示談金を増額することによって、示談することが可能になることがほとんどですが、示談金に関心は無く、加害者を許さないという被害者であれば、示談は困難です。
3 示談ができない場合の対応―財産犯の場合
窃盗罪のような財産犯の場合で、示談が難しいケースの場合、無理に示談にこだわる必要は無く、被害弁償をすることを検討します。
例えば、30万円を盗んだ場合、被害者弁償として30万円を準備し、被害者に支払います。
被害者も、加害者を許すことになる示談は断ったとしても、被害弁償は受け入れてくれる方が多い思われます。
ただ、被害弁償により加害者に対する処分が軽減される可能性があること等を好ましく思わない等の理由から、被害弁償すら受け入れないという方もいらっしゃいます。
そのような場合は、被害金額に遅延損害金を付して法務局に供託するという手段もありますので、弁護士にご相談ください。
財産犯の場合、被害金額や前科関係等によりますが、被害弁償を考慮して不起訴になることは、多々あります。
4 示談ができない場合の対応―性犯罪の場合
例えば、痴漢、盗撮、強制わいせつ等の性犯罪の場合、被害者にお金を払っているかということより、被害者と示談ができているか、つまり被害者が許しているかが重視されます。
被害者に一定程度の慰謝料を支払う、検察庁に反省していること等を懸命に伝えたとしても、不起訴にまではならず、例えば、通常は罰金30万円の処分のところを罰金20万円になるといった程度にとどまることが想定されます。
5 財産犯と性犯罪の違い
財産犯の場合、被害者が許している、許していないに関わらず、被害弁償により、事後的に、犯罪によってもたらされた被害が回復したといえます。
被害弁償により犯罪被害が回復すること、これが財産犯において、被害弁償だけで不起訴に導くことができる理由だと思われます。
反対に、性犯罪の場合、お金を支払っても、犯罪の被害が回復するとことにはなりません。
ですので、性犯罪の場合、被害を受けた被害者が許しているかどうかが重視されます。
性犯罪の場合、示談が成立していなければ、不起訴となるのは、難しいでしょう。
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