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「交通犯罪」に関するお役立ち情報
危険運転致死傷罪の刑罰の相場
1 危険運転致死傷罪
自動車は、「走る凶器」と表現されることもあるように、人を死傷させてしまう危険性が常にあります。
赤信号をわざと無視して走行する、猛スピードで走行する等の危険な運転行為をしたうえで、交通事故をおこした場合、通常の交通事故より重く処罰するために、危険運転致死傷罪が規定されています。
2 危険運転致死傷罪の類型
危険な運転行為として、自動車運転死傷行為処罰法第2条に定められている運転行為は以下のようなものです。
- ①アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態での走行
- ②自動車の進行を制御することが困難な高速度での走行
- ③自動車の進行を制御する技能を有しない状態での走行
- ④通行妨害目的で、重大な交通の危険を生じさせる速度で、走行中の自動車への直前に侵入したり、通行中の人または自動車に著しく接近する態様での走行
- ⑤通行妨害目的で、重大な交通の危険が生じることとなる速度で、走行中の自動車の前方で停止したり、著しく接近することとなる方法での走行
- ⑥高速道路等において通行妨害目的で、走行中の自動車の前方で停止したり、著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車を停止または徐行させる行為
- ⑦赤信号を殊更無視した上で、重大な交通の危険を生じさせる速度での走行
- ⑧通行禁止道路を通行した上で、重大な交通の危険を生じさせる速度での走行
自動車運転死傷行為処罰法第2条に規定される類型の危険運転をして人を死亡させた場合、1年以上20年以下の懲役刑となり、人を負傷させた場合、15年以下の懲役刑となります。
なお、危険運転致死傷罪には罰金刑の定めはなく、懲役刑のみとなります。
3 令和3年の統計から
令和3年の統計を見ると、被害者を死亡させた、危険運転致死罪で第1審で有罪になったケースは、34件あります。
問題は、34件中、どれくらいの割合で実刑となっているかですが、34件全てが実刑となっており、執行猶予が付いたケースはありません。
このことから、危険運転致死罪で有罪となった場合、執行猶予がつくということは、ほぼ無いと考えた方がよいでしょう。
前述の34件中、19件は懲役5年を超えており、19件のうち3件は懲役10年を超えています。
このことから、危険運転致死罪は、相当に重く処罰されていることがわかります。
危険運転致死罪で有罪になると実刑が免れない可能性が極めて高いことを前提にすると、危険運転致死罪で起訴されないよう、危険運転の成立要件を満たさない等、検察官に対して主張し、危険運転致死罪で起訴されることを防ぐ弁護活動が重要となる事案があると考えられます。
次に、令和3年、危険運転致傷罪で第1審で有罪になったのは278件ありますが、254件が執行猶予付きの懲役刑となっています。
危険運転致傷罪の場合、執行猶予となった割合は90%を超えていることになり、具体的な事故の内容や前科関係によりますが、危険運転致傷罪においては、執行猶予付きの判決となることが十分に期待できるといえるでしょう。
参考リンク:法務省・令和4年版 犯罪白書
交通違反での不服申立ての方法 交通事故の犯罪について私選弁護人を依頼するメリット