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強制性交等罪の改正

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年7月24日

1 法改正の理由

改正前、強制性交等罪は、「暴行または脅迫」を用いること、準強制性交等罪では、「人の心身喪失もしくは抗拒不能」を利用することが犯罪成立のための要件となっていました。

しかし、暴行や脅迫をしたり、眠っている等の抗拒不能を利用していなくとも、相手との関係性で抵抗できない場合等、性被害の実体に合っていない場合もあり、法律の改正を求める声がありました。

父親が当時19歳の娘に対する準強制性交等罪に問われた事件において、娘が中学生のころから同意のない性行為を強いられてきたことを認めつつも、「被害者が抗拒不能であったと認めるには合理的な疑いが残る」として、父親に無罪が言い渡された事件等で、無罪判決が相次ぎました。

このような無罪判決に対して、性暴力に抗議するフラワーデモが開催されるなどしました。

2 不同意性交等罪の創設

今回の法改正では、強制性交等罪と準強制性交等罪を統合し、処罰される行為を追加した上で、不同意性交等罪に名称を変更し、同意のない性交は、犯罪になり得ることを明らかにしています。

3 不同意性交等罪の8つの行為又は原因

  • ① 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと
  • ② 心身の障害を生じさせること又はそれがあること
  • ③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること
  • ④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はそれらの影響があること
  • ⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと
  • ⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること
  • ⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること
  • ⑧ 経済的又は社会的関係の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又は憂慮していること

これら8つの行為または原因により、被害者が同意しない意思を表明することが困難な状況にさせ、又は、その状態にあることに乗じて性交等した場合、不同意性交等罪に問われることになります。

4 その他の改正点

強制性交等罪では、性交、肛門性交、口腔性交を処罰対象としていますが、不同意性交等罪においては、膣または肛門に身体の一部や物を挿入する行為も性交等と同じく処罰の対象となります。

また、強制性交等罪においては、性交等の同意年齢が13歳未満とされていましたが、不同意性交等罪においては、16歳未満の者に対して性交等を行えば、同意の有無にかかわらず、処罰されることになります。

なお、13歳から15歳が被害者の場合、被害者より5歳以上年上の者のみ処罰対象となります。

年齢差の条件が設けられたのは、同年代同士の恋愛に基づく性交等も処罰の対象とすることは妥当ではないという考えからです。

さらに、現在の強制性交等罪では時効が10年であったのに対し、不同意性交等罪においては、時効が15年に延長されます。

加えて、被害者が18歳未満の場合、18歳に達するまでの期間が時効期間に加算されるので、18歳になるまでは15年の時効がスタートしないのと同じことになります。

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