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「その他性犯罪」に関するお役立ち情報
強制わいせつ罪の改正
1 強制わいせつ罪とは
強制わいせつ罪は、刑法176条に規定されていた罪で、「13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者」「13未満の者に対してわいせつな行為をした者」が、強制わいせつ罪として処罰されていました。
2 強制わいせつ罪に関する改正
強制わいせつ罪の法定刑は、明治40年の刑法制定当時から、平成16年の法改正に至るまで、6月以上7年以下の懲役刑でした。
平成16年の法改正によって、性犯罪の罰則が強化され、強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役刑となりました。
平成29年にも、性犯罪関連の法改正があり、強姦罪が強制性交等罪に変更されたり、監護者わいせつ罪及び監護者強制性交等罪が新設される等しましたが、強制わいせつ罪自体は、変更されませんでした。
もっとも、平成29年改正で、性犯罪に関する親告罪の規定が削除された関係で、強制わいせつ罪も非親告罪となったという点では、影響を受けました。
また、肛門性交、口腔性交といった、従前は、強制わいせつ罪に問われていたものが、強制性交等罪として処罰されるようになったという点で、強制わいせつ罪も影響を受けました。
3 令和5年の改正
令和5年の改正により、強制わいせつ罪は、不同意わいせつ罪に変更されました。
不同意わいせつ罪は、同意のない状況でのわいせつ行為を処罰するもので、従来の強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪を統合するものであり、かつ、従来の強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪よりも処罰犯意が広いと考えられます。
不同意わいせつ罪には3つの類型があります。
まず、自由な意思決定が困難な状況でのわいせつ行為を処罰するものです。
具体的には、次の8つの行為等により、被害者がわいせつ行為に同意しない意思を形成、表明等することが困難な状況でのわいせつ行為を処罰するものです。
- ① 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと
- ② 心身の障害を生じさせること又はそれがあること
- ③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること
- ④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はそれらの影響があること
- ⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと
- ⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること
- ⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること
- ⑧ 経済的又は社会的関係の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又は憂慮していること
次に、被害者が勘違いしている状況でのわいせつ行為です。
具体的には、行為がわいせつなものでないとの誤信をさせ、もしくは行為をする者について人違いをさせ、またはそれらの誤信もしくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした場合も不同意わいせつ罪として処罰されます。
さらに、16歳未満の者に対してわいせつ行為をすれば、被害者の同意の有無を問うことなく、不同意わいせつ罪として処罰されます。
ただし、被害者が13歳から15歳であった場合、被害者より5歳以上年上の者がわいせつ行為をすると不同意わいせつ罪となりますが、年齢差が4歳までであれば、不同意わいせつ罪とはなりません。