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刑事事件における簡易裁判所と地方裁判所の違い
1 はじめに
刑事事件をおこすと、警察や検察による捜査があり、起訴されると、裁判手続きを経て、刑罰が科されます。
日本においては、3審制がとられており、起訴された場合の第1審の裁判は、一部の例外を除いて、簡易裁判所または地方裁判所となります。
以下では、簡易裁判所、地方裁判所でどのような事件が取り扱われるのか、また、裁判を開かないで刑罰を科す略式手続きについて説明します。
2 簡易裁判所で取り扱う事件
簡易裁判所では、罰金以下の刑にあたる事件の第1審、窃盗や横領等の比較的軽微な事件についての第1審の裁判をおこなうことができます(裁判所法33条第1項2号)。
そして、簡易裁判所では、原則として罰金以下の刑しか科すことができませんが、住居侵入、常習賭博及び賭博場開帳等図利、窃盗、横領、逸失物横領、盗品譲受け等の罪等の罪において3年を超えない範囲で懲役刑を科すことができます。
上記の罪名の中で、窃盗、逸失物横領、住居侵入といった事件は、簡易裁判所に起訴されていることも多い印象です。
3 略式手続
略式手続は、100万円以下の罰金または科料を科す際に使われる手続きで、裁判は開かれず、書面のみで審理されます。
裁判のために裁判所へ出廷する必要がなく傍聴人の目にさらされることがないこと、身柄拘束されている事件では略式手続が取られると釈放される等、略式手続は、被疑者にとってメリットがあります。
ただ、日本においては裁判を受ける権利が保障されていることとの関係で、略式手続を取る際には、担当検察官が被疑者に略式手続の説明をしたうえで、被疑者の同意を得ることが必要です。
実務上、略式手続による処理は非常に多く、刑罰で罰金になるといえば、多くは略式手続がとられます。
略式手続により科された罰金額に不満がある等の場合、14日以内に正式裁判を申立てることもできます。
4 地方裁判所で取り扱う事件
地方裁判所は、高等裁判所が第1審を担当する内乱罪に関する罪以外、公判請求される全ての罪の事件を取り扱います(裁判所法第16条第4号、同法第24条第2号)。
例えば、窃盗の罪は、地方裁判所、簡易裁判所どちらの裁判所にも起訴される可能性があります。
どちらの裁判所に起訴するかは、検察官の判断になります。
なお、例えば、万引き事件について、簡易裁判所で起訴された方が刑が軽くなるといったようなことは無いと思われますので、どちらの裁判所に起訴されるかについては、あまり気にする必要はないと思います。