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教師による体罰の刑事責任
1 体罰は禁止されている
学校教育法第11条には、「校長及び教員は、教育上の必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と規定されています。
教師は、生徒らに対して一定の範囲で懲戒権があることを前提としても、体罰をすることは、法律上、明確に禁止されています。
2 何が体罰にあたるか
具体的に、体罰に当たる行為は、文部科学省のホームページによると以下のようなものがあります。
●身体に対する侵害を内容とするもの
- ①体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を踏みつける。
- ②授業態度について指導したが、反抗的な言動をした複数の生徒らの頬を平手打ちする。
- ③給食の時間、ふざけていた生徒に対し、口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけ、生徒に当てる。
- ④部活動顧問の指示に従わず、ユニフォームの片づけが不十分であったため、当該生徒の頬を殴打する。
●被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
- ⑤宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるように言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。
3 体罰による刑事責任
上記の①~④のような類型の体罰は、端的に生徒、児童に対する暴力そのものであり、暴行罪にあたる可能性があります。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
①~④のような類型の体罰の結果、生徒や児童に怪我を負わせてしまった場合、傷害罪にあたる可能性があります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
次に⑤のような、児童の肉体的苦痛はあるものの、児童の身体に対する直接的な有形力の行使が無いため、暴行罪は成立しないと思われます。
ただし、生徒に長時間の正座をさせ続けることは、具体的な事情によっては、人に義務のないことをおこなわせたとして、強要罪となる可能性もあるのではないでしょうか。
強要罪の法定刑は、3年以下の懲役です。