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「実刑・執行猶予・罰金・前科等」に関するQ&A

一部執行猶予とはどのような制度ですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年8月16日

1 刑の一部執行猶予制度

刑の一部執行猶予制度は、宣告された刑の一部だけの執行が猶予される制度です。

たとえば、一部執行猶予の適用の結果、「被告人を懲役2年に処する。その刑の一部である懲役3月の執行を2年間猶予する。」という主文になります。

この場合、判決を受けた被告人は、一部執行猶予された3か月を除く1年9か月間の実刑期間を刑務所で過ごし、その後、2年間の猶予期間を問題なく過ごすことができれば、一部執行猶予された3か月について、服役しなくてもよいことになります。

2 全部執行猶予との違い

刑の一部執行猶予制度が登場する前は、判決の内容は、すべて実刑か、すべての期間に対して執行猶予期間がつく(いわゆる全部執行猶予)かのいずれかでしたが、刑の一部執行猶予制度の登場により、全部執行猶予の要件を充足しないために全部執行猶予が適用されない場合であっても、一部執行猶予を適用し、社会内での更生を図ることが可能になりました。

3 一部執行猶予制度の問題点

一部執行猶予制度は、完全隔離された刑務所内ではなく、社会内での更生を可能にする制度である点で、社会への早期復帰、再犯防止等に資することが期待されていますが、一方で、監視期間が長期化することの懸念が示されています。

たとえば、さきほどの「被告人を懲役2年に処する。その刑の一部である懲役3月の執行を2年間猶予する。」という主文では、1年9か月の実刑期間に加えて、2年間の猶予期間は保護観察が付くなど事実上監視される期間になるため、全体では、3年9か月にわたって、監視に置かれるというデメリットが考えられます。

4 刑事事件に強い弁護士へご相談ください

依頼者にとっては、一部執行猶予を付けて、監視期間を延ばすことよりも、実刑期間が延長した場合であっても、全部実刑で早く監視から逃れたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。

依頼者のニーズと実際のメリット・デメリットを比較して、どのような主張を組み立て行くのかを考えることも弁護士の業務の一つであり、刑事事件に詳しい弁護士でなければ、なかなかそのバランスをとることができません。

名古屋で弁護士をお探しの場合には、刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。

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